2021年 7月号 第139回「様々な葬法の違い③」
お骨・遺体を大切にする儒教や道教の教え
日本に近く、葬法にも影響を与えた中国や朝鮮半島には儒教や風水思想、道教の考えが強く影響しているので土葬が多く、土饅頭型や亀甲型のお墓を作ります。
儒教では、ご先祖様をお祀りする「先祖祭祀」と、父母に仕える「考」が生活の基本にあり、身体を大切にする考えがあります。
風水では、亡き両親のお骨を通じて子孫に繫栄と幸せがもたらされる。という考えから、遺体(特にお骨)を大切にします。
道教では「不老長生」を願い「丹砂・朱沙」など水銀を原料とする不老不死の仙薬が作られました。このため古代中国では人骨やお棺の内側に「朱」を塗って「不死」を願う習慣が生まれました。また遺体保存のために木炭を棺の周りに詰めたりもしました。
日本の古墳にも棺の内側や石室の壁に「朱」を塗ったり、木炭を詰めた遺跡が数多くありますが、それは古代中国のこうした葬法の影響を受けたものです。
今までご紹介した例で、民族の宗教が違うと葬法も、お墓の作り方も、意味も、明らかに異なることが分かります。
次は日本人が死んだらどうなると考えられていたかを書いていきます。
- 丹砂・朱沙:たんさ・しゅさ
- 不老長生:ふろうちょうせい
- 考:こう
- 先祖祭祀:せんぞさいし
- 亀甲:きっこう
- 土饅頭:どまんじゅう
- 葬法:そうほう