2021年 6月号 第138回「様々な葬法の違い②」
教えによる葬法の違い。「火葬」を行わない宗教
チベットは元来「鳥葬」の国です。
亡骸はハゲ鷲が食べやすいように細かく切り砕きます。亡骸を食べられることで死者の霊を早く天界に運んでもらえる。と信じています。しかし全て鳥葬にするのではなく、現実には、土葬や火葬・水葬やミイラもあります。
同じく鳥葬のイスラム教の原型と言われる古代ゾロアスター教では、「死体は不浄であり、土葬・水葬・火葬も不浄な行為で、神聖な火で不浄な死体を焼くことは神への冒涜」という教えがあります。インドのゾロアスター教徒のためには、鳥葬の場所で、また彼らのお墓でもある有名な「沈黙の塔」がボンベイにあります。
キリスト教のカソリックでは、火葬して遺体が無くなるのを嫌います。「最後の審判の日」に遺体がないと神の国・天国へ往けないと信じられています。また、人々は教会の中のキリスト像や聖者の遺体に少しでも近い場所に埋葬されて、聖者とともに天国へ往くことを願う「聖者崇拝」もあります。
また、火葬は、魔女や異端者の拷問刑である「火あぶり」とみなされるので敬遠された。とも言われます。
- 冒涜:ぼうとく
- 亡骸:なきがら
- 鳥葬:ちょうそう