2021年 11月号 第143回「日本人は死んだらどうなるの④」
副葬品は残された人から亡くなった人への気持ち
二か月にわたって縄文人と弥生人のお墓の遺跡を見てきました。
どちらの遺跡にも言えることは、死者や先祖をとても大切にし、お墓が生活の一部になっていたと言う事です。
そしてどちらの遺跡からも「副葬品」がたくさん出土されています。
学校の教科書にはほとんど「豪華な副葬品は権力の誇示や象徴」とありますが、私は違った見方が出来ると思います。
副葬品は埋葬した後、だれの目にも触れることがないので、これは「死後の世界」のものです。弥生人は「死後の世界」を信じ、具体的なイメージを持っていたのではないでしょうか。
一昔前までのお葬式でも、私たちは棺桶に六文銭を入れ、亡くなった人に手甲・脚絆・杖・わらじを持たせて旅装束にしました。亡くなった人が、あの世(冥土・冥界)で「冥土の旅」をすると信じていたからです。
これらは生きている人に見せるためのものではありません。同様に、「副葬品」とは、そういう性格のものである、という事を考えておく必要があると思います。
この点は「古墳時代のお墓」でも述べたいと思います。
- 冥界:めいかい
- 冥土:めいど
- 旅装束:たびしょうぞく
- 脚絆:きゃはん
- 手甲:てっこう
- 六文銭:ろくもんせん
- 棺桶:かんおけ
- 象徴:しょうちょう
- 誇示:こじ
- 副葬品:ふくそうひん