2021年 10月号 第142回「日本人は死んだらどうなるの③」
長い年月を超えて共通する、日本人の死者を大切する気持ち
先月は縄文時代の遺跡から日本人の死生観を考えてみましたが、今月はそれより約三千年ほど後の弥生時代の遺跡「吉野ケ里遺跡」から日本人の死生観を見ていきます。
吉野ケ里遺跡は佐賀県にあり、外堀・内堀に囲まれた約三十ヘクタールもある大規模な環濠集落です。
お墓に関して重要な点は、
①北九州一帯に特有の埋葬法である大人用の大型「甕棺」が二千基以上も出土したこと。
②二列になった墓列(列状墓群)があること。
③古墳時代の原型とみられる墳丘墓が二列の墓群の北側にあること。
また、集落の北側には出入り口と道があり、墳丘墓の横から列状の埋葬地を通って居住区へと続いている。という点です。
これは明らかに、集落へ入る時に墳丘墓に挨拶又は礼拝をし、続いて列状の埋葬地にも挨拶・礼拝をしてから居住区へ入り、村から外へ出る時も同じように挨拶や礼拝をしなければならない配置になっています。
この構造は、青森県にある縄文時代の三内丸山遺跡と同じで「死者を大切にし、生きている人と共に暮らしていた。」形跡が認められる。
と言えます。
- 礼拝:らいはい
- 甕棺:かめかん
- 環濠集落:かんごうしゅうらく