2019年 3月号 第111回「般若心経の話二十二」
「顚倒夢想」の世界と「究竟涅槃」の世界
「遠離一切顚倒夢想究竟涅槃」
この部分の肝心な所は「顚倒夢想」です。「顚倒」とは倒れると言う意味があり端的に言えば「思い違い」です。
皆さん大なり小なりの夢はお持ちかと思いますが、その夢も思い違いをすると苦しみの原因となります。
自分の夢や理想、欲望などに固執し過ぎると、達成出来ない事への苦しみが増すばかりです。
相手がある夢や理想の場合、自分だけの力ではどうしようもありませんから、尚更苦しむ事になります。
そうならない為に「遠離」があります。自分勝手な夢や理想を一旦自分から遠くへ離してみるのです。
離してみることで冷静に考える事が出来るので「自分の思い違いに気づく事が出来る」のです。
最後は「究竟涅槃」です。
「究」は、極める。「竟」は、終わりまで。「涅槃」は、苦しみの無い理想の世界。を表わしているので、全体を通してみると、
「世の中は自分の想いだけで生きてはいけない。それに気づけば、心に苦しみをいだくことのない理想の世界を実現出来る」
という事を表わしていると思います。
- 遠離一切顚倒夢想究竟涅槃:おんりいっさいてんどうむそうくきょうねはん