2019年 2月号 第110回「般若心経の話二十一」
心の中に「損得勘定」というフィルターをかけて考えることで苦しみが生まれて来るのです。
「心無罣疑無罣疑故無有恐怖」
この部分は二つに分けてみると分かりやすいです。
前半の部分「心無罣疑無罣疑故」は心に罣疑無し、罣疑無きが故に、と読めます。罣疑とは、さえぎるもの、邪魔をするものなので、心をさえぎるもの=自己欲と考えます。
そしてその後に「無有恐怖」と続きますから、全体では自己欲を無くすと怖いものが無くなる。という意味になります。
私たちは何かを考えたり何かをする時に、まず自分のことを優先して、相手のことは二の次になってしまいます。心の中に「損得勘定」というフィルターをかけて考えることで苦しみが生まれて来るのです。
自分が傷つくのが怖い、大切なものを失うのが怖いなどの「怖さ」や「苦しみ」の元は何でしょうか。突き詰めて考えると、今の自分が変化するのが怖い。という感覚でしょう。
自己欲=自分本位の損得勘定という余計なフィルターをかける事により心が窮屈になる。そのフィルターを外して、今あるべき自分を務めていれば、怖いものは何もなくなるでしょう。
- 無有恐怖:むうくふ
- 罣疑:けげ
- 罣疑無:けげな
- 心無罣疑無罣疑故:しんむけげむけげこ
- 心無罣疑無罣疑故無有恐怖:しんむけげむけげこむうくふ