2019年 12月号 第120回「般若心経の話二十八」
言葉にすることで生まれる魂
般若心経の最後の部分「般若咒」だけは玄奘三蔵さまによって意訳されませんでした。
これは、その言葉の意味を詮索するのではなく、その言葉自体の力に身をゆだねよ。という事だったのでしょう。日本人が「言魂」といって言葉に魂が宿る。と思っているのと同じだと思います。
しかし、それでは物足りなく、先人たちによっていくつかの訳が試まれました。
有名な仏教学者の中村元先生は、「往ける者よ、往ける者よ、彼岸に往ける者よ、彼岸に全く往ける者よ、さとりよ、幸いあれ」と訳されました。
薬師寺元管主の高田好胤和上は、「行こう、行こう、さあ行こう、みんなで行こう、みんなで幸せの国へ行きましょう」と訳されました。
人がより良く生きたいと願い目標に向かって一生懸命に進んでいる時でも、ふいに心が折れてしまう事があると思います。その時立ち止まってしまうのではなく、心を奮い立たせて次の一歩を踏み出すのが大切なのだよ。っと言っているのではないでしょうか。
心を奮い立たせるための呪文が「羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆呵」なのではないでしょうか。
- 羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆呵:
- 高田好胤和上:ぎゃていぎゃてい はらぎゃてい はらそうぎゃてい ぼじそわか
- 中村元:なかむらはじめ
- 言魂:ことだま
- 詮索:せんさく
- 般若咒:はんにゃしゅ
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