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2019年 11月号 第119回「般若心経の話二十七」

玄奘三蔵さまを力づけた「般若咒」の音の響き

「羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆呵」
般若心経も、いよいよ最期の言葉、通称「般若咒」の部分へ来ました。
この般若咒の部分は、今までの部分と違い、このままでは意味が通りません。
このお経をインドから持ち帰りお訳しになった玄奘三蔵さまは、他の部分は意味が通じるように意訳されたのに、この部分だけは音訳しかされませんでした。
玄奘三蔵さまだけでなく鳩摩羅什三蔵さまも同じように音訳しかされませんでした。実はこの部分は昔から訳す事を禁じられていたそうです。
昔、玄奘三蔵さまが中国からインドへ仏教の原点を求めて旅をした時に「般若心経」を唱えながら歩いていたそうですが、その時に繰り返し唱えていたのは、般若心経全部ではなく、「羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆呵」の部分だったと言われています。
たぶん、この言葉の持つ不思議な音と、それを繰り返し唱える事に何かの力が作用するのではないでしょうか。
ですから、玄奘三蔵さまはこの般若咒を何度も唱えながら苦難の道をあるいたのだと思います。

  • 鳩摩羅什三蔵:くまらじゅうさんぞう
  • 玄奘三蔵:げんじょうさんじょう
  • 般若咒:はんにゃしゅ
  • 羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆呵:ぎゃていぎゃてい はらぎゃてい はらそうぎゃてい ぼじそわか

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