2018年 10月号 第106回「般若心経の話⑰」
「不」とは絶対的な否定を表わしています。
「不生不滅不垢不浄不増不減」
ここでは「不」という文字が6回も出てきます。「不」とは絶対的な否定を表わしています。
私たちは普段いろんなものを見ていますが、ほとんどの人が、自分の知識と経験を基準に判断していると思います。
自分の思いだけで物事を判断してしまうと、片寄った見方になりやすいので、そのような事は絶対にしてはいけないと否定するのが「不」です。
私たちは自分では自由に動いているつもりでも、知らないうちに何かにしがみついて身動きが取れなくなっている事があります。
片方が柱に結び付けられたロープの反対側を握って動きまわっているようなものです。ロープがとどく範囲内では自由に動き回れても、ロープの長さ以上には出られません。
ロープをしっかりと握っている状態が、こだわりを持って生きている自分自身なのです。
お釈迦様は、自分の経験や主張に縛られてはいけない。世の中には「変わらないこと」はないのだから、自分自身にこだわれば前に進めなくなる。と言ってみえるのでしょう。
- 不生不滅不垢不浄不増不減:ふしょうふめつふくふじょうふぞうふげん