2018年 9月号 第105回「般若心経の話⑯」
舎利子に対して優しくお釈迦さまが答えてみえます。
「舎利子是諸法空相」
ここでは、前回「色即是空」についての答えをいただいたお釈迦様に、もう一度質問をした舎利子に対して優しくお釈迦さまが答えてみえます。
「舎利子さん、人間の存在を分析した“五蘊”だけではなく、世の中すべてが“空”です」
諸法は空である。「法」という字は「氵」(サンズイ)と「去る」からなっています。つまり「水が去る」という事を表わし、また「法」は「教え」とも読みます。
私たちがさらさらと水が流れている川を見ると、いつもそこに同じ川があると思いますが、目の前を流れて行く水は流れ去るので、二度と同じ水を見る事は出来ません。
「常にあると思っていても、同じものはないのだ」ということを仏教では「無常」と言います。
その教えを、去りゆく水の流れが明確に表わしています。そう考えていくと「水が去る」と書く「法」に「教え」という意味を持たせた先人の知恵に頭が下がります。
世の中は刻々と変化し、決してとどまってはいない。だから、自分の考えに片寄らずに、世の中が変化するように自分も変化し、成長しよう。
- 無常:むじょう
- 五蘊:ごうん
- 色即是空:しきそくぜくう
- 是諸法空相:ぜしょほうくうそう
- 舎利子:しゃりし