2018年 5月号 第101回「般若心経の話⑬」
六波羅蜜の次は「照見五蘊皆空」です。
六波羅蜜の次は「照見五蘊皆空」です。
「照見」とは読んで字のごとく「照らして見る」事です。当たり前ですが人間は暗闇ではものをはっきり見る事は出来ません。ここでは物事を意識して注意深く見なければならない事が教えられています。
メーテルリンクの童話「青い鳥」のように、私たちは与えられている幸せをよく見ていないから、その幸せに気づかずにいる事が多々あります。
自分の目で見ているつもりでも、実はきちんと見ていなくて、自分勝手に取捨選択をしてしまっています。
また、「照見」には心の問題の解決法があります。人間は、本当に苦しいことや迷っている事は言葉に出せない。自分が抱えている嫌な部分は決して人には晒さない傾向があります。
逆に言うと悩みを言葉に出して話せるという事は、その悩みをほとんど消化している事になります。
自分の心の中に迷いや苦しみを閉じ込めておくよりも、それを外に出して見る。悩みに光を当てる事で迷いや苦しみの原因がみえる事があります。
他人に悩みをさらすことで気持ちが楽になり、悩みを解決するための近道になる事もあるのです。
- 取捨選択:しゅしゃせんたく
- 照見五蘊皆空:しょうけんごうんかいくう
- 六波羅蜜:ろくはらみつ