2018年 1月号 第97回「般若心経の話⑨」
六波羅蜜の3番目は「忍辱」です。忍辱とは忍耐の事です。
六波羅蜜の3番目は「忍辱」です。忍辱とは忍耐の事です。時を待ち、まわりの人の言葉に惑わされない事です。
「忍」とは、古代インドの言葉の「サハー」を意訳した「忍土」から来ています。忍土とは、さまざまな煩悩を抱えながら生きている私たちの世界の事で、音訳すると「娑婆」になります。
「石の上にも3年」という諺がありますが、これは、どんなに辛くても我慢していれば、やがて報われる。という事を表わしています。でもただ我慢すればよいのではなく少しづつでもいいので努力をする事で必ず良い結果が得られる事だと思います。これが「忍」の示すところです。
そして「辱」は侮辱という熟語にも使われているとおり「他人の身勝手な発言」と解釈します。
人間は誰でも、まわりの人の言葉には弱いものです。褒め言葉をもらうと悪い気はしませんし、逆に自分を中傷するような言葉を口にする相手は恨むものです。
しかし自分の好まぬ言葉にこそ、自分を強くする肥やしが含まれているものなので、時には苦言に耳を傾ける事が大切です。それを教えてくれるのが「辱」なのです。
- 侮辱:ぶじょく
- 諺:ことわざ
- 娑婆:しゃば
- 煩悩:ぼんのう
- 忍土:にんど
- 忍辱:にんにく