2016年 5月号 第77回「戒名・法名の話④」
戒名は仏弟子になったあかしにいただく名前
「法名は授戒の後授けらるるが故に戒名とも称す。」とあります。これはもちろん生前にいただく名前のことです。 多くの仏教国の中で日本だけは、亡くなると髪を剃り(剃髪)、戒を授けて(授戒)、戒名(法号)を付ける習慣が生まれました。これは日本の「言霊」や死後に付ける「諱」の考え方も影響しているとおもわれます。 もともと「戒名」と「法名」に違いはありません。世俗の生活を捨て(俗名を捨て)仏教の信仰に生きる仏弟子となった「あかし」にいただく名前です。それが亡くなった後に戒名(法名)を付けるようになるのは、仏教によって「死者を救う」ためでした。 亡くなった人を仏様として「成仏」させ、苦しみの無い安楽の「極楽浄土」へ往生させるには、どうしても故人を「剃髪」し「授戒」させて仏弟子とする必要があったのです。その仏弟子になった「あかし」が、没後の戒名(法名)で、仏式の葬儀はまさに故人の得度式なのです。
- 安楽:あんらく
- 授戒:じゅかい
- 称す:しょうす
- 得度式:とくどしき
- 仏弟子:ぶつでし
- 剃髪:ていはつ
- 法諱:ほうき
- 往生:おうじょう
- 諱:いみな
- 俗名:ぞくみょう
- 法号:ほうごう
- 極楽浄土:ごくらくじょうど
- 言霊:ことだま
- 出家授戒:しゅっけじゅかい
- 名字:みょうじ