2016年 4月号 第76回「戒名・法名の話③」
生前の功績をたたえて贈る称号「諡(おくりな)」
戒名や法名のルーツとは、いったい何でしょうか。昔々、日本や中国では成人に対して「本名」で呼ぶ事を避けていました。本名には魂が宿っているので、みだりに呼んではいけないという考え方です。 そこで人々は本名のかわりに「字」や「諱」を付けて呼ぶことにしました。「字」は成人(元服)した時に付ける名前。「諱」は「忌み名」のことで、人が亡くなると生前の名前で呼ぶことを避けるために付けました。また、生前の功績をたたえて贈る称号を「諡」と言います。古代中国の「礼」の決まりで、中国の天子や日本の天皇、あるいは朝廷から贈る「諡」を「諡号」と言います。ちなみに弘法大師や伝教大師も「諡号」です。 中国では三千年以上も前から「字」や「諱」、「諡」が定められ、日本にも影響を与えました。後に中国や朝鮮から仏教が伝わると共に、「戒名」「法名」という新しい名前が日本に入ってきました。
- 伝教大師:でんぎょうだいし
- 忌み名:いみな
- 弘法大師:こうぼうだいし
- 元服:げんぷく
- 諡号:しごう
- 諱:いみな
- 諡:おくりな
- 字:あざな