2016年 11月号 第83回「石屋の修行②」
とても刺激的で賑やかな会社でした。
父親から脅されて行った石屋の職場見学でしたが、言われたのとは全く違いとても親切に案内されました。 言われていた石屋の雰囲気と全く違っていた理由は、親方が代々続いた老輔の石屋出身ではなく、九州出身で一度は東京で就職したものの脱サラして石屋になったという、岡崎でも異色の石材店だったというのに気が付いたのは入社してからでした。 親方は石屋としての修行期間は短かったみたいですが彫刻のセンスはとても良く、石仏彫刻専門の会社としては岡崎で三本の指に入るほどの技術を持ち、全国の良い石造物を見て回るなど、とても研究熱心な人でした。 そんな人柄なので石屋だけでなく石を使った彫刻家なども工場の一角を間借りして自分の作品を作ったり、東京芸大の教授も自分の作品を作るのに岡崎まで来て一緒に作ったりと、常に石屋以外の人間が出入りし、とても刺激的で賑やかな会社でした。 お陰さまで普通の石屋の小僧では得られないような経験をさせていただいた事が今の自分に繋がっていると感謝しています。