2016年 10月号 第82回「石屋の修行①」
愛知県の岡崎市で四年間石工の修行をしました。
お墓の話からはちょっとそれますが、私は大学を卒業後、愛知県の岡崎市で四年間石工の修行をしました。 岡崎市というと、四国の庵治、関東の真壁と並び石製品の3大産地の一つです。その中でも岡崎市には、日本で唯一の職業訓練校石材科が有るので、全国から石屋の卵が修行に集まってきます。 時はまさに高度成長時代。今と違い、作れば売れる時代でしたので、岡崎の石屋さんは安くて豊富な小僧を使いしっかり儲けていたのでしょう。 一言で石屋と言ってもいろいろあり、山で石を採掘しているのは山石屋、石灯篭だけを作る石屋もあれば墓石だけを作る石屋、彫刻物専門の石屋もありました。大学四年の後半、他の友人は就活に励んでいる中、私は岡崎の石佛彫刻専門店へ下見に行ったのです。 父親からは、石屋の職人は、頑固で気難しい人が多いから気を付けるように。石屋の道具「セットウ、ノミ、コヤスケ、サシガネ」などがそこらへんに置いてあっても絶対跨いだらダメだから。道具は石職人の命だからこっぴどく叱られるから。と脅されて職場見学に行ったのでした。