2016年 1月号 第73回「浄土真宗とお墓⑥」
浄土真宗は墓石に刻む文字は「○○家之墓」ではなく…?
浄土真宗には親鸞聖人のご遺徳を慕い、聖人のお側にありたいという願いから祖壇に納骨(分骨)する習慣があります。蒲池勢至先生によりますと、十七世紀後半(江戸時代寛文年間)から始まったそうですが、今では年間一万五千件もの納骨があるそうです。本来は地元のお墓への納骨が主で、遺骨の一部を本山に納める分骨という形態が主でしたが、最近では費用の安さから全骨納める方も増えているようです。 また、浄土真宗は「五輪塔を建てない」ということをよく耳にしますが、近畿地方や広島、福井などごく一部の地域を除いては、浄土真宗の方も五輪塔を建てられますし、愛知県岡崎市の妙源寺所蔵の「親鸞絵伝」(重要文化財)のご聖人のお墓は五輪塔です。墓石の正面に彫刻する文字は禅宗の人が「〇〇家之墓」と彫ることが多いのに対して、浄土真宗は「南無阿弥陀仏」や阿弥陀経の中にある「倶会一処」(倶にお浄土で会いましょう)と彫刻することをお勧めします。 いずれにしても、迷われたら菩提寺のご住職や知識のある石材店に相談されると良いでしょう。
- 俱会一処:くえいっしょ
- 蒲池勢至:がまいけせいし
- 菩提寺:ぼだいじ
- 祖壇:そだん
- 俱に:ともに
- ご遺徳:ごいとく