2014年 2月号 第50回「五輪塔は最高のお墓⑥」
五輪塔は密教で言う「地・水・火・風・空」という宇宙を構成する五大要素を表している。
五輪塔は密教で言う「地・水・火・風・空」という宇宙を構成する五大要素を表している。と言われますが、空海はこれに「識(識大)」を加えた「六大」という独自の教えを説きました。
密教で使われる金剛界と胎蔵界の二つの曼荼羅には、どちらにも中心に大日如来がおられ、二つが揃って初めて完全な曼荼羅と大日如来となります。そして二つの曼荼羅の大日如来はそれぞれ違った手の結び方をしています。これを「印」を結ぶ、と言います。
左図の上の手が金剛界の「智拳印」、下の手の結び方が「定印」です。これで初めて「五輪塔には二つの曼荼羅と大日如来が含まれている」という覚鑁の言葉が理解できます。
覚鑁「五輪九字明秘密釈」より空海の目指した「即身成仏」には「身・口・意」の三つの修行が必要です。手に印を結び(身)、口でダラニを唱え(口)、座禅をして心で瞑想をします。
右の図の五輪塔は三つの修行をしている姿であると同時に、亡くなった人がみな成仏・往生した姿なのです。
- 五輪九字明秘密釈:ごりんくじみょうひみつしゃく
- 地・水・火・風・空:ち・すい・か・ふう・くう
- 識(識大):しき しきだい
- 身・口・意:しん・く・い
- 覚鑁:かくばん
- 定印:じょういん
- 智拳印:ちけんいん
- 印:いん
- 曼荼羅:まんだら
- 胎蔵界:たいぞうかい
- 金剛界:こんごうかい
- 構成:こうせい
- 密教:みっきょう