2014年 1月号 第49回「五輪塔は最高のお墓⑤」
五輪塔を普及させた別所聖たちの重要な活動に「勧進」があります。
五輪塔を普及させた別所聖たちの重要な活動に「勧進」があります。
「勧進」とは歌舞伎の「勧進帳」や「五木の子守歌」にある「おどま、かんじん、かんじん」の「かんじん」で、寺院の新築や壊れた寺の復興のためにする募金活動の事です。勧進のために数千人の別所聖(高野聖)が全国を巡り、積極的に貴族や武士、庶民のお葬式をし、お墓を建てました。
また、高野山への納骨を引き受けたり写経などもしました。もちろん本来の活動の布教もしましたが、その時に覚鑁上人の「成仏=往生=五輪塔」の教えを用いたのです。
五輪塔は密教で言う「地・水・火・風・空」という宇宙を構成している五大要素を表している、といわれます。
しかしそれだけでは五輪塔を十分に理解したことにはなりません。五輪塔とは、本来亡くなった人を「成仏」させ、極楽浄土へ「往生」させるための仏塔なのです。
五輪塔が普及する前のお墓は単に「死者の埋葬地」でしたが、覚鑁は往生と成仏の意味を実証して、初めて亡き人の魂を救い、死者を本当に大切にするお墓を作りました。それはお墓の「一大革命」だったのです。
- 地・水・火・風・空:ち・すい・か・ふう・くう
- 覚鑁上人:かくばんしょうにん
- 埋葬地:まいそうち
- 布教:ふきょう
- 納骨:のうこつ
- 高野聖:こうやひじり
- 復興:ふっこう
- 勧進帳:かんじんちょう
- 歌舞伎:かぶき
- 勧進:かんじん
- 別所聖:べっしょひじり