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2014年 12月号 第60回「なぜお墓は石でつくるの⑤」

古事記に出てくる「千引岩」に込められた意味とはどんな事だったのでしょう。

古事記に出てくる「千引岩」に込められた意味とはどんな事だったのでしょう。それは私たちが今使っている墓石の原点になっています。
一つ目に、千引岩は、イザナミの命が往った「黄泉の国」(死者の国)の出口を塞ぎ死者がこの世に自由に出て来られなくする役目をしています。また墓石をむやみに開けて覗いてはいけない、死者が大地のふるさとで安らかに眠っている邪魔をしてはいけない、という意味も有ります。
二番目に千引岩は、あの世とこの世を分ける境界の役目があります。境界石と言えば「道祖神」や「賽の神」墓地の入口の「六地蔵」なども同じで、知らない異界と日常の世界とを隔てる石という意味です。
三番目には千引岩も墓石も、生きているものと亡くなったものが会話をする仲立ちの役割を果たしている石だと言う事です。古事記ではイザナギとイザナミが千引岩をはさんで将来の予言をしますが、墓石は亡くなった肉親の魂と、残された家族が心の中で素直に会話をするための仲立ちの石なのです。
それが「家族のきずな」の始まりだと私は思っています。

  • 隔てる:へだてる
  • 賽の神:さえのかみ
  • 塞ぎ:ふさぎ
  • 黄泉の国:よみの国
  • 往った:いった
  • イザナミの命:イザナミのみこと
  • 千引岩:ちびきいわ

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