2014年 11月号 第59回「なぜお墓は石でつくるの④」
「千引岩」が神話に出てくる「墓石」の始まりです。
醜い姿を見られたイザナミは「私に恥をかかせた」と、黄泉の国の魔女たちにイザナギを負わせました。それが逃れられると今度は黄泉の国の軍隊を差し向けました。
それもなんとか逃れたイザナギは、とうとう黄泉比良坂まで逃げて来た時イザナミ自身が追って来たので、イザナギは千人でやっと動かせる巨大な「千引岩」で出口を塞ぎました。
この「千引岩」が神話に出てくる「墓石」の始まりです。
出口を塞がれたイザナミは千引岩を間に挟んでイザナギと最後の別れの言葉を交わしました。
イザナミは「あなたがこんな仕打ちをするなら、私はあなたの国の人間を一日に千人殺します。」
イザナギは「あなたがそうするなら、私は一日に千五百もの産屋を立ててみせる。」
この言葉は「人は死ぬ運命にあるが、日本の国は一日に五百人づつ人の数が増え続けて栄える」という神話的予言です。
この後イザナギが(黄泉の国の)死の穢れを身禊すると、天照大神・月読の命・スサノヲの命などの神々が生まれ、天の岩戸や八俣の大蛇退治など、おなじみの神話が展開します。
- 山俣の大蛇:やまたのおろち
- 黄泉比良坂:よもつひらさか
- 月読の命:つくよみのみこと
- 天照大神:あまてらすおおみかみ
- 天の岩戸:あまのいわと
- 身禊:みそぎ
- 死の穢れ:しのけがれ
- 産屋:うぶや
- 塞ぎ:ふさぎ
- 千引岩:ちびきいわ
- 黄泉の国:よみの国
- 醜い姿:みにくいすがた