2012年 8月号 第33回「写経の話④」
「西遊記」は「大唐西域記」がモデルになっています。
日本人であれば誰でも知っている「孫悟空」が主人公の「西遊記」。これは、唐代を代表するたいへんな高僧「玄奘法師」が実際にインドへ経典を求めて十七年間にも及ぶ大旅行をした記録「大唐西域記」がモデルになっています。
この書は当時のインドや西域の仏教事情を見聞した貴重な記録ですが。その中にお釈迦様のお墓(卒塔婆ストウーパ)をつくって「写経」を納める「埋経」の事が出ています。
「インドの風習に香木の粉末を練って高さ五~六寸の小さな卒塔婆を作り、書き写した経文をその中に安置する習慣があり、これを法舎利と言っている。その数が殖えると、もっと大きな卒塔婆を建てて、これをみな集めて常に供養を行うのである」(水谷真成訳「大唐西域記」第九「摩掲陀国」下・平凡社)
お釈迦様の仏舎利(ご遺骨)が無いときは、仏舎利と同じ価値があるとされる「写経」が用いられました。これを特に「法舎利」と言います。
これを見ても当時のインドでは、お墓にお経を写して納める(埋葬)風習が広く行われていた事が分かります。
- 法舎利:ほうしゃり
- 仏舎利:ぶっしゃり
- 摩掲陀:まがた
- 香木:こうぼく
- 埋経:まいきょう
- 卒塔婆:そとうば
- 殖える:ふえる
- 法舎利:ほうしゃり
- 経文:きょうもん
- 香木:こうぼく
- 埋経:まいきょう
- 卒塔婆:そとうば
- 見聞:けんぶん
- 大唐西域記:だいとうさいいきき
- 玄奘法師:げんじょうほうし
- 唐代:とうだい
- 西遊記:さいゆうき
- 孫悟空:そんごくう