2012年 6月号 第31回「写経の話②」
木版印刷が発達すると「写経」は別の意味を持つようになりました。
インドから中国へと、たくさんの「梵文貝葉」(サンスクリット語の写経)が伝えられましたが、中国で木版印刷が発達すると「写経」は別の意味を持つようになりました。
「写経」は多くの人々を救う目的の「大乗仏教」のお坊さん達によって始められました。(中国・チベット・朝鮮半島・日本に伝わった仏教はほとんどが大乗仏教です)
大乗仏教のお経には「写経をすると、計り知れない功徳がある」と説いています。特に強調しているのが『法華経』の「法師品(第十)」で「法華経を心にとどめ、口で読み、人に教え、手で写経し、このお教に花・香・水などを供え、供養し合掌し、うやまえば・・(中略)この人は来世で必ず仏となる」とあります。
写経」をすれば来世では必ず仏となれるのですから、大変な功徳です。
ちなみに「功徳」とは、善い行いを積むことで「解脱(完全なさとり)」を得るための「福徳」が備わることです。
写経のほかに功徳を積むには、寺を造る(造寺)・仏像を造る(造仏)・卒塔婆(ストウーパ)を造る(造塔)・三宝(仏・法・僧)を供養する。などがあります。
- 三宝:さんぽう
- 卒塔婆:そとうば
- 備わる:そなわる
- 福徳:ふくとく
- 解脱:げだつ
- 善い:よい
- 来世:らいせ
- 法師品:ほっしぼん
- 法華経:ほけきょう
- 功徳:くどく
- 大乗仏教:だいじょうぶっきょう
- 梵文貝葉:ぼんぶんばいよう