みなさん こんにちは
石政佐藤石材の代表 佐藤豊 です。
突然ですが、みなさん「珪化木」ってご存知ですか?
小学校の理科の時間に習ったと思いますが、昔々何万年も前の木材(立ち木)が倒れて土砂に埋まり、地層の隆起によって地面の下の方へと移動すると、地層からのとてつもない圧力を受けます。
そこへケイ酸を含んだ地下水が流れ込み、徐々に木の細胞の中を満たしていき長い期間を経て木の中身が二酸化ケイ素に置き変わったものです。
ケイ酸(sio2)とはケイ素と酸素、そして水素の化合物の総称で土のせいぶんの60~80%を占める成分です。
ケイ酸って普段あまりなじみの無いものですが、実は地球上のあらゆる生物の細胞に入っている物質なんです。
で、 「珪化木」は二酸化「ケイ」素に変「化」した「木」なので、珪化木と言います。
自分たちの小さい頃は、珪化木の事を「木石」と読んで近くの川へ取りに行った記憶があります。
木の中身が二酸化ケイ素に置き変わり、地層からの圧力を受けて圧縮されると二酸化ケイ素は結晶化して、「石英」に変わっていきます。
石英は基本的に白い色の結晶を作るのですが、鉄分などの元素の影響もうけて黒や紫、黄色などの色も出て来るので、様々な模様が生まれます。その中でも無色透明なものは「水晶」と呼ばれとても人気が有ります。
そういった珪化木が多治見市の中央を流れている土岐川流域で採取出来ます。そして土岐川流域で採取されるためか「土岐石」と呼ばれ昔から愛好家が見えるそうです。
聴くところによると、古墳時代には「勾玉」として使用され、江戸時代には「生類憐みの令」を出された徳川綱吉公に献上したところ、その魅力に感銘され「採取禁止令」が出されたとの事です。
前置きが長くなりましたが、今回その愛好家さんが土岐石の事を多治見の子供に知ってもらうために珪化木を切って磨いてほしいと依頼に来られました。
こちらがその珪化木です。
左の二つは良く見ると木の切り株の雰囲気が残っています。
これを年輪とかが分かるように縦横に切って磨いてほしいとの事でした。
切ることはダイヤモンドカッターで切ればそんなに難しくはないのですが、磨くとなると御影石用の砥石ではうまく磨けるのか心配でしたが、とりあえずやってみてほしいとの事で、カット磨き作業が終了した物が、
こちらです。
心配していたより良い艶がでてホッとしています。
職人さんにやってもらいましたが、荒砥石の跡がなかなか消えなくて何度も磨き直したそうです。途中で見た時に、もうそれくらいでいいんじゃないかと思いましたが、職人さんの意地でここまで仕上げたそうです。
外見からはとても想像できない自然が作り出した美しさに感動です。
子どもたちが、これを見て石の事や地元の魅力に気づいてくれたら苦労したかいがあったと思います。